12月の読書会です。今回は思想体系のⅡ人間を取り巻く3つの世界の中から神観について学びました。スピリチュアリズムの示す真実の神観を学ぶ前に、従来の宗教について確認しました。神に関しての考え方は、まず神の存在を肯定する有神論と、神の存在を否定する無神論に分けられます。そして、神による創造を認めるが、創造した後の被造世界・被造物に対し、神は関りを持たないとする考えを理神論というそうです。
次に、世界・人間・自然などを区別せず全てを神と考える汎神論があります。汎神論は神の創造を否定する考えですが、厳然として存在する宇宙世界がどのようにして存在するようになったのか、という根源的な問いに対して答えを棚上げにしているそうです。また、考え方、時には都合によって有神論にも無神論・唯物論にもなりえるとらえどころのない考え方です。
一般的な有神論は多神教と一神教に分けられます。多神教は複数の神を信仰する宗教ですが、日本の神道・古代ギリシアやローマの宗教・古代エジプトの宗教・中国の道教・インドのヒンズー教など、さまざまな宗教がこれに含まれます。一神教は、全世界に存在する神はただ一つであると考える宗教です。ユダヤ教やキリスト教・イスラム教がその代表です。スピリチュアリズムは、それらの宗教と同じく「唯一の神(大霊)」を崇拝の対象とします。
1848年のハイズビル事件から始まったイエス主導のスピリチュアリズム運動により、シルバーバーチの霊訓を筆頭とする世界三大霊訓が降ろされました。それにより、地球人類にとって最高の霊的真理・霊的知識を地上世界に根付かせることができました。神に対しての地上の人間の理解は、直観的な印象をそれぞれが理性的・知的に納得して理解していくものだと思います。三大霊訓・シルバーバーチの霊訓が降ろされるまでは、断片的な神、曖昧な神の姿をもとに、それぞれの国家・民族・地域・家族・個人などにおいて神観が形成されたのではないかと思います。現在においても無数の宗教・神観が存在し、それぞれに相容れることはできないことから、宗教(神観)の違いが様々な分断や対立の原因になっています。
対照的に「霊界人は霊的直感によって神を実感的に認識していますが、その際「理性的な神認識(神についての理解)」も同時になされるようになっています。」と今回の資料にはありますが、衝撃的な内容です。私達地上人は僅かな直観と理性的・知的な理解によって神への理解と信仰を手にするのだと思います。驚きですが、霊界では神の存在に対して直観・実感・理性的な認識が同時になされるのです。そして、全ての人間が共通する唯一の神を信仰しているのです。地上の人間も霊的存在ですが、肉体を携え物質世界に生きる地上人にとって、霊界の人間と同じ次元で神を認識することは不可能だということを改めて確認することができました。こうした信仰者にとって厳しい世界・地上世界に生きるのが、私達地上人なのです。真実の信仰の道・神への実感を深める道は、本当に厳しい道のりだということです。
地上の人間にとって霊界のような実感をもって神を感じることは不可能ですが、シルバーバーチの霊訓という最高の教えが降ろされました。あとは、それぞれの直観・実感・理性を最大限に活用して、それぞれが吟味することなのだと思います。信仰者の方々には是非ともシルバーバーチの霊訓が本物であるかどうか、まっさらな気持ちで評価していただきたいと願っています。
シルバーバーチの霊訓・三大霊訓により、霊界と地上界では神に対する認識・実感の次元が大きく異なることが明らかになりましたが、同時に霊界と同じ神への理解、真実の神への理解を手にすることができました。霊的事実を知ることで、神を実感することの困難さを知ると同時に、真実の神への理解を得ることができたのです。
今回はスピリチュアリズムによって明らかになった、5つの神観から3つを学びました。まず、スピリチュアリズムの説く神観は以下の5つに分けられます。今回は①②③の3つを学びました。
①創造主としての神
②大霊としての神
③愛なる神・究極の愛としての神
④摂理(法則)としての神
⑤究極の理想としての神
神は、霊界と宇宙(物質世界)を創られ、霊界と宇宙に存在する全ての存在物と全ての生命体を創られました。更にそれらの世界と存在物と生命体の全てを支配する摂理をも創られました。また、全ての被造物は神の要素・属性を有しているということも理解できました。中でも、自然界には神の御姿が様々な形で表現されていると思います。そして、地球に存在する生命の中で唯一、神の分霊を与えられた人間には神の要素がより多く与えられています。この地上世界において基本的な神への理解を深めるためにも、積極的に霊的学びを重ねたいと思います。
今回の資料に以下の内容があります。
人間は形のないものは実在しないと考えがちですが、自分の内に心があることは誰も疑いません。神もその心と同じで、無形であっても確かに存在しているのです。神と私たちの心は、無形であっても確実に存在しているという点で同じです。つまり神は、私たちの心を無限大に拡大したような存在と言えます。
神とは、「霊界・宇宙すべてを包むような広がりを持った大きな心」「霊界・宇宙すべてに遍在している大きな霊・大きな意識体・あらゆる意識の総合体」、すなわち「大霊」と言うことができます。スピリチュアリズムでは、神を「大霊」として説いています。この「大霊」という言葉は、人間が考える区別・形式・概念をすべて超越している、ということを意味しています。そしてあらゆる存在界・存在物に神が遍在している、ということも意味しています。
全ての存在(神による被造物)は神の要素を持っていますが、そうした意味でも神は遍在しているといえると思います。また、自然に人々を癒す力があることは証明されていますが、そこには神の愛も溢れているのだと私は思います。そうした意味でも神は全てに遍在する大霊なのです。以下はシルバーバーチの言葉です。
「神とは非人間的存在でありながら同時に人間性のすべてを表現する存在です。これは、あなた方には理解できないでしょう。神はすべての生命の中に宿っています。その生命が人間という形で個別性を持つことによって、神は森羅万象を支配する法則としてでなく、個性を持つ存在として顕現したことになります。
ですから神を一個の存在としてではなく、無限の知性と叡智と真理を備えた実在そのもの、人間に想像し得るかぎりの神性の総合的統一体と考えてください。それは男性でもなく女性でもなく、しかも男性であり女性でもあり、個性というものを超越しながら同時にあらゆる個性の中に内在しているものです。神は万物の内側にも外側にも存在しています。神から離れては誰一人存在できません。神から切り離されるということはありえないのです。あなたの中にも存在しますし、雨にも太陽にも花にも野菜にも動物にも、その他いかに小さいものでも、存在するかぎりはすべてのものに宿っているのです。
私が大霊と呼んでいるこの神の概念を伝えるのは至難の業です。あらゆるものを支配し、あらゆるものから離れず、存在するものすべてに内在している崇高な力です。」
『シルバーバーチの霊訓(11)』(潮文社)p.108
今回学んだ資料から、神の愛は霊界・宇宙に神の愛が充満していること、そして、その愛は全ての存在・万物に注がれていることが述べられています。まさに神は「究極の愛の存在」ということが述べられています。また、神はその愛と英知によって摂理を創られましたが、愛が摂理(法則)に先立つことを強調しています。以下はシルバーバーチの言葉です。
「愛は宇宙における最大の力です。大自然の法則を機能させる原動力です。愛あればこそ全大宇宙が存在するのです。」
『シルバーバーチの霊訓(1)』(潮文社)p.140
こんなに素晴らしい霊的事実を知ったのは本当にありがたいことです。しかし、資料にもありますが、日常の人間は神の愛を常に実感することはできないのです。肉体をまとった人間は、五感で感じられるもの、本来の霊的意識とは隔たりのある意識の中で感じる愛や喜びに惹かれてしまいます。地上人生で味わう愛や喜びを否定するものではありませんし、地上人生での愛と喜びも霊的価値を内包しているのだと思います。しかし、終わりのない霊的成長と奉仕の道を歩むには、霊的知識に基づいて神の愛を求める努力が不可欠です。日々の生活で揺らいだり失敗することもあるのが人間ですが、それでも霊的成長・霊的奉仕の努力を重ねるのが、地上人生の第一の目的なのです。
また、そうした地上人生でも神の愛を全く体験できないことはないのです。それは守護霊の存在です。守護霊の愛は私利私欲のない利他愛です。この守護霊の愛は神の愛と同質で、守護霊によって神の愛を間接的に受けることができるとあります。しかも、日常生活の中でたびたび感じ取ることができるようになっているのです。祈りの最中や困難な事態に直面したときなどに、心が安らぎや温かさに包まれることがあると述べられています。そうした形で間接的ではあっても守護霊を通して神の愛に触れることができるのです。そして、地上人生を終えて霊界に行けば、必ず神の愛をストレートに実感することができるのです。これこそが最高の希望です。どんな感じなのか全く想像ができません・・・体(霊体)が生命力と活気で満たされ、心(魂)が愛と喜びに満たされ、地上時代の何百倍も奉仕へのエネルギーが湧き出るような感じでしょうか?その時を楽しみに、霊的真理を拠り所として人生を駆け抜けていきたいと思います。
以下は今回活用しました資料へのリンクです。
(3)従来の神観の整理 ↗
(6)「霊界通信」を通してもたらされる神観の意義 ―― スピリチュアリズムの神観の特殊性と卓越性の根拠 ↗
(7)スピリチュアリズムが明らかにした神観のポイント ―― スピリチュアリズムの神観の基本的概念 ↗
以下は参加メンバーの感想です。
今月の読書会では「神観」から、①創造主としての神。②大霊としての神③愛の始原としての神(愛なる神)について学びました。世の中には沢山の宗教があります。神と言っても、色々な捉え方や認識、考え等があり、とても難しく、奥が深い存在だと思います。私は、以前から「創造主としての神」が、いちばん腑に落ちていました。そして今回、普及会の資料で「大霊としての神」と「愛の始原としての神」を更に加えて、大きな愛の存在で壮大な力だと教えて頂きました。特に私の心に響いた愛なる神は、利他愛そのものを感じさせてくれる素晴らしい神観でした。全知全能の創造主である大霊を感じることが出来るように、霊的真理を正しく学び、地上人類に広く普及していく事を願います。真の利他愛に関しては、目的や理由などなく自然に実践出来る姿だと思うので、日々霊的成長を心がけたいと思います。 50代女性
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